想いに浸かる夏

公開日:2022年07月16日

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梅雨について書こうかと考えていたらあっと言う間に明けてしまい、すでに真夏の空気ですね。夏って、夏休みぐらいからスタートするものだと思っていたのに、1.5倍速で季節が進んでいる様に感じる、もうすぐ四十路の夏女moriですお久しぶりです。

1.5倍速で思い出しましたが、最近の若者は映像コンテンツを1.5倍速で見るそう。なんでも「過程より結末」が大事だそうで…。結末(ゴール)は大切だけど、過程(道のり)をひと山ふた山乗り越えてこその結末だとオバチャンは思うのですが。したことはないけどTikTokなんかもそうですよね。サクッとしつつも、中身が濃くて上手くまとめられている。けれど断然過程フェチなmoriは久しぶりに昔のフランス映画を見ようかと思います、エンドが「ポカーン」となるやつを。過程が長ければ長いほど美しい気がするのです。結末はおまけ。と、まあ格好つけていますが、ただせわしさに脳がついていけないだけなのでした。

思い出す=脳トレ!?

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さてさて本題ですが、学生はもう夏休み。大昔の私は、小学校のプールに行くのが夏休み恒例の過ごし方でした。太陽に照らされてぬるくなったプールに仰向けで浮かび、耳に入り込みそうな水の音を聞く。漂うように水面に身を任せれば不思議と生まれる安心感に「お母さんのお腹のなかってこんなんだったのかな」と思いを巡らせたり。あと忘れられないのがドラゴンボールの専用ケース付きの目薬。NOゴーグルで泳ぐと目が真っ赤になるのでマストアイテムでした。そしてひと仕切り泳いだ後、家でそうめんをすすり、『おもいっきりテレビ』内のコーナー『あなたの知らない世界』という怖い短編ドラマを見ながら、チューペット(香川県ではチューチュー?)やスイカを堪能ところで睡魔にいざなわれ、寝落ち―。

またお盆休みはおばあちゃん家の畑で獲れたトマトやキュウリをもぎ取り、近くを流れる川の水で冷やして丸かじり。体じゅうが水分で満たされていくのをじんわり感じる夏のひと時―。すみません、今の一節は妄想です(我が家は同居でした)。

 

なんにせよ、夏ってノスタルジーですね…。夏がくれば思い出します、青春の刹那を。若者たちには「思い出して何になる?」と突っ込まれそうだけど。実は大いに意味があるんです。また調べましたよ!何でも調べたいアラフォー…。

 

第一に、過去を振り返ることは認知症の予防だったり進行を防ぐことが立証されており、現代医療や介護の現場で「回想法」として活用されていること。思い出にふけることは、後ろ向きな印象を持たれがちですが、実際はそんなことは無く、難しく言うと脳の前頭葉・側頭葉領域、後部帯状回が活発に働くことが解剖学で証明されているそうです。そしてなによりこれは私が感じていることですが、思い出すことでストレス解消、幸福感が得られる事なども脳科学的に解明されています。

 

 

次に、知ってびっくりしたのですが、記憶力は20代も70代も大差ないということ。歳を重ねるにつれて「記憶力が落ちたな」と思うのは、実は「思い出す力」の低下が原因だそう。つまり、「思い出す力」をトレーニングすれば、moriだって東大に行けるかもしれないということなのです!?

讃岐おもちゃ美術館で脳トレ

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冗談は置いといて「思い出す力」の重要性だけをお伝えしたところで、先日ある施設でその力をツルっと磨いてきたのでお話しようと思います。知っている方が多いと思いますが、丸亀町に誕生した『讃岐おもちゃ美術館』です。おそるおそるひとりで行って来ましたよ!

 

祭りを思わせる提灯にワクワクしながらエントランスに足を踏み入れると、木の香りにハッとさせられます。都会で森林浴ができるとはびっくり。それもそのはず、ヒノキのシンボルツリーをはじめ、19種の樹種で構成された木が立ち並んでいるから当然です。床材に目を遣れば、空間ごとに使っている木材が違い、組み方もおもしろいことを発見。変な話、床を眺めているだけでもちょっと楽しいのです。

フロアはコンパクトに見えますがどっこい、遊びの工夫がそこかしこに散りばめられており、今遊んでいるおもちゃに没頭するあまり、なかなか次の遊びに移れなくなるくらいおもちゃのトリコになる始末。

巨大なジェンガ

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フロア奥に鎮座するのはオリーブの木を使った巨大なジェンガ。ひとりで行ったので、崩れた時の周囲の反応が怖くて挑戦できず。小心者具合を悔やみつつ、小さなヒノキのドミノに夢中になっていると、スタッフさんに声をかけられ、いろんな遊びをレクチャーしてくれました。結論。ひとりで行っても楽しめる!むしろひとりで行くと童心に帰って遊びに専念できちゃう。

盆栽

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讃岐かがり手まりで作られた盆栽(なかに磁石が入っていてくっつく)や、大師堂をかたどった精巧な模型、漆塗りの滑り台など、畏敬の念を抱くほど美しい作品たちは基本的に触れていいそう(NGなものは少ないが囲ってある)。なぜかというと、そもそもこの美術館は、子どもたちにこそ本物を知ってほしいという想いのもとに作られたから。いやはや、小さい頃から本物を知れるなんて、讃岐っ子は幸せだなあ。

赤ちゃんコーナー

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室内には赤ちゃんコーナー、うどん屋さんごっこや小豆島の醤油蔵でお茶遊び、和三盆の壁面遊びができるさぬきごっこ広場、グッドトイ(おもちゃの投票制度で選ばれた優れた玩具)が集まるフロアなどもあり、ことでんの懐かしい車両のなかにはたくさんの木の玩具が…!

テーブルゲーム

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テーブルゲームも豊富に用意されていて、幅広い世代の遊びのニーズにもこたえてくれています。

コマ回し

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moriが一番ハマった遊び。それは「コマ回し」。多種多様なコマのなかには、“日本人が好きな風景”が見えるコマや、言葉では形容しづらい“からくりコマ”がたくさん!コマ回しなんて35年ぶりで、昔は「コマね、コマコマ。ふーん」って感じだったのに、今、無我夢中でコマをむさぼる。何回回したことか。「エモい」と言うのでしょうか、心と脳が同時に湧き立つような感覚になりました。脳の前頭葉・側頭葉領域、後部帯状回が活発に働くというのはこのことか。難しいことはわからないけれど。

コマ、おススメです。あと、けん玉もいっぱいあります。懐かしい遊び、エモいです!

ミュージアムカフェでひと休み

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心と脳を鍛えた後は胃袋を満たすべし!入館料なしでOKのカフェは、讃岐の食材を使ったモーニングやランチ、スイーツが充実。座席はテーブル席、ソファ席や、子連れにグッドな座敷もあるので使い勝手二重丸。街歩きでの疲れを癒してくれそうなカフェです。

IKUNASで雑貨えらび

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花園町の『IKUNAS』が移転。讃岐の伝統工芸品や、おもちゃ美術館で使われているグッドトイ、日常使いができる日用品が並びます。伝統工芸品って難しいイメージを持っていましたが、とてもおしゃれで誰かにプレゼントしたくなるようなものばかり。商品数の多さに目が忙しく・心は楽しく。こちらも入館料は必要ありません。

 

まとめ

三世代で楽しまれている方が多かったですが、ひとりや大人同士でもかなり楽しめると思います。入館は基本的に予約制で、おススメは併設の駐車場5時間分と入館料がセットになった1,200円のチケットです。入館料単体が大人900円なのでお得ですね。私はおもちゃ美術館+カフェ+雑貨屋さんすべて回ってだいたい5時間でした。

脳トレがてら夏休みに子どもを連れて再訪しようと思っています。

名建築探訪:第4弾

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帰ってきた名建築探訪。今回は夏休みにぜひにと、大阪にある『近つ飛鳥博物館』をご紹介。

大阪府羽曳野市。のどかな風景に異彩を放つ巨大な博物館。雰囲気でお気づきでしょうか。この建物は設計者が安藤忠雄氏です。

長い階段が羅列する特長的なファサードが目印。こちらは以前、栄養ドリンクのCMで使われていました。(↓公式YouTube)

https://youtu.be/wP7WS6nzXsQ

これを見れば、安藤忠雄建築の壮大さを感じ取ることができるでしょう。この博物館は窪地にあり、自然に恵まれたロケーションを一望できるように段状に隆起させたそうです。見えている階段はいわば屋根の役割を果たしていて、内部へは奥深くに入る形となり、あたかも古墳のなかに身を置いているような感覚を味わうことができるのです。

 

展示物も興味深く、例えば絵心を問いたくなるような顔が描かれた土器や、猫耳っぽいキュートなフォルムの杯、いにしえのオシャレなファッションなど、そうそうたる顔ぶれ。なかでもイチオシは鶏型の埴輪で、見た瞬間志村けんさんの白鳥を彷彿させ吹き出しそうに。展示物の画像は許可の関係で掲載を控えますが、公式ウェブサイトに掲載されているので、良ければ見てください。

博物館がある羽曳野市は古墳が多いのが特徴で、かの有名な応神天皇陵は代表的なもののひとつ。そのジオラマもまた迫力があるので要チェックです。

すべてのスケールがとにかく大きいので、古墳好きもそうじゃなくてもコーフンする内容となっております(コレが言いたかった)。

 

大阪市内から車で1時間弱とでアクセスも悪くないので、夏休みにドライブがてらいかがでしょう。奈良も近いからぜひセットでどうぞ。

 

さあ夏本番!当たり前ですが2022年の夏は人生でこれっきりなので、笑って過ごしましょうね!ではでは~!!!